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第13話 東ってどっち?(続々)

水田課長 いや〜、寒い冬だったけど、やっと暖かくなってきたな。
中山由美 そうですね。暑さ寒さも彼岸までといいますからね。
水田課長 厚い脂肪は肥満やで? しっ、失礼な。
安村主任 かなり強引な聞き間違いですね。
水田課長 うむ。 強引グ・マイウェイだ。
中山由美 ?????
水田課長 ところで、前回の話で東京から東に向かって行って赤道に着いた時、なんで東の方向はアルゼンチンじゃないんだ?
安村主任 そりゃそうでしょう。東京から来ようがどこから来ようが、赤道の上では北極点に向かう経線から時計回りに90度の方向が東です。
水田課長 そうか。どっちから来たかによって方位が変わったりしないよな。でも、なんでだ? 東に向かって出発したはずなのに。
中山由美 それは、あくまでも東京から見た時の話です。東京から1歩出るともう話が違ってきます。
水田課長 はあ? どういうこと?
中山由美 1歩出たところで、改めてそこの子午線を引いてそれに直交する大円を求めて、北極点に向かう経線から時計回りに90度の方向が東です。
水田課長 北極点に向かう云々って、細かい説明で分かりにくいぞ。
安村主任 きちんと説明するとそうなるんです。そもそも、課長がリカーシブコールだとうるさいから・・・
水田課長 すんません。私が悪うございました。
ところで、昔の航海士は北極星を見ながら進路を決めたそうだけど、これって、北極点に向かう経線云々と同じ意味合いなの?
中山由美 そうです。北極星の方向が経線ですから、それと常に角度が同じになるように舵をきれば目的地にたどり着けます。ずっと角度を同じに保つので等角航法などと呼ばれています。
水田課長 その角度ってどうやって求めるんだ?
中山由美 メルカトル図が有効です。メルカトル図は、経線が平行に描かれていますから、メルカトル図上で出発地と目的地を直線で結べば、それが等角航法の航路です。
水田課長 そうなんだ!
安村主任 ただ、その航路は最短航路ではないんですけどね。
水田課長 え? なんでだ? 直線で結んでいるから最短だろう。
安村主任 地球が平面だとそうなんですけど、球面なので違うんですよね。2点を結ぶ大円が最短航路になります。
水田課長 また、大円の登場か。でも大円って円周の一番長い円だったよな。それが何で最短になるんだ? 最長になりそうだが・・
安村主任 混乱してますね。切り口の話と最短距離の話は違いますよ。
赤道上とか同一経線上の2点を考えれば分かりやすいですよ。同一経線上の2点の最短ルートはその経線そのものですよね。で、経線は大円です。
水田課長 同一緯線上の2点だとその緯線が最短距離のような気がするが。
安村主任 気のせいです。
水田課長 そうかなあ。
中山由美 ほら、地球儀の上の同一緯線上の2点に糸を張って、それをずらすと、ほら、糸が緩みますよね。
水田課長 あ! 本当だ。緩みの多いところが最短コースでそれが大円か。
中山由美 そうです。
水田課長 う〜ん。分かったような、分かったような。
中山由美 分かったんですね!
水田課長 う〜ん。理屈の上では分かったんだけど、まだ頭が平面だ。
安村主任 まあ、無理も無いですね。平面の地図しか見てないでしょうから。
中山由美 そうですね。球面のような3Dをイメージできる人は少ないですよ。
水田課長 おお、何というヤラしいお言葉。
中山由美 はあ?
水田課長 いや、やさしいお言葉。
中山由美 言い間違えないで下さいよ。一字違いで随分意味が違うじゃないですか。
水田課長 すんまそん。
中山由美 全然キムチがこもってないですね。
安村主任 気持ちがこもってないだろ! 君まで言い間違えるんじゃないの!
中山由美 すんまそん。
安村主任 キムチがこもってない! だめだぁ・・・おれまで・・・
第14話へつづく  
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