地図よもやま話
第14話 さよならミール
| いや〜、ミールが落ちるとこまで落ちたなァ。 | |
| なんか、日本語が変じゃないですか? | |
| かなり老朽化していたみたいだから、最後はよれよれの軌道を飛んでたよな。 | |
| よれよれの軌道? | |
| 新聞の地図に軌道が載ってたけど、まっすぐ飛んでなくて、上に行ったり下に行ったり波のような軌道を飛んでたぞ。 | |
| あ、それはちゃんと円軌道を飛んでいるんですけど、メルカトル図に描くと、あんな風になるんです。 | |
| はあ? なんでやねん。 | |
| またも球と平面の話です。 | |
| またか。まだ、俺の頭は平面だもんな。 | |
| 例えば、地表すれすれに飛んでいる人工衛星があったとしましょう。 | |
| そんなの、危なくてしょうがないじゃないか。 | |
| だから、例えばですって。 例えば、東京を通って、経線と直交する軌道で地面すれすれに飛んでいる衛星があるとします。 |
|
| ん? それって・・・ | |
| あ! 気がつきましたか? | |
| 危ないよな。 | |
| がくッ。せっかくうまい説明と思ったのに・・・ | |
| ああ、それって・・・ | |
| あ、今度こそ気がついてくれましたか。 | |
| どうやって打ち上げるんだろうな。地面すれすれの衛星って。 | |
| おちょくってます? | |
| なに二人で漫才やってるんですか。(オレも入りたいヨ・・) | |
| 入りたいなら入りたいと言わんかい。 | |
| あれ? オレってさとられ? | |
| もうお分かりのことと思いますが、この人工衛星の軌道は、前回までの東京から見た東西の方向の線と一致します。 | |
| ふむ。 | |
| で、その線ってメルカトル図の上ではやっぱり波打ってましたよね。 | |
| そうだった、そうだった。 | |
| 球面上の円をメルカトル図に投影すると、波状になるんですよ。 | |
| そう言えば、他の人工衛星もそんな軌道だったよな。ひまわりとか。 | |
| ひまわりは静止衛星だから、違いますよ。 | |
| 静止衛星? 止まってるのか? | |
| 地球の自転と同じスピードで回っているので止まっているように見えるんですよ。 | |
| 静止衛星って、メルカトル図上では、どうなるんだ? | |
| 赤道上の一つの点ですね。 | |
| 何じゃそりゃ。愛想ないな。 | |
| 愛想の問題じゃないでしょう。 | |
| 話を戻して、ミールはよれよれの軌道を飛んでたわけじゃなかったんだな。 | |
| そうですね。 | |
| まっすぐに飛んでいて、役目を終えて落ちた・・・なんか哀れだなあ。 | |
| 課長ってヤラしいんですね。 | |
| 言い間違えるなって。 | |
| でも、ミールのおかげで理解が深まりましたよね。 | |
| ふむ。だいたい分かったような気がする。 | |
| これで、人工衛星の軌道を見ても理解できますね。 | |
| そうだな。見ーる人が見れば分かるんだな。 | |
| ・・・・(し〜ん)・・・ | |
| ・・・・(し〜ん)・・・ | |
| あっ、ちょっと寒かったか? | |
| ・・・・(し〜ん)・・・ | |
| ・・・・(し〜ん)・・・ | |
| そ、そんなつもりじゃなかったんだ。反省してます! うそじゃない! | |
| はいはい。もう分かりましたから。 | |
| 信じてくれ! 本当だ! おれのこの目を見てくれ。 | |
| ・・・・・プッ。 | |
| 人の顔を見て笑うな! |
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