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第14話 さよならミール

水田課長 いや〜、ミールが落ちるとこまで落ちたなァ。
安村主任 なんか、日本語が変じゃないですか?
水田課長 かなり老朽化していたみたいだから、最後はよれよれの軌道を飛んでたよな。
中山由美 よれよれの軌道?
水田課長 新聞の地図に軌道が載ってたけど、まっすぐ飛んでなくて、上に行ったり下に行ったり波のような軌道を飛んでたぞ。
中山由美 あ、それはちゃんと円軌道を飛んでいるんですけど、メルカトル図に描くと、あんな風になるんです。
水田課長 はあ? なんでやねん。
中山由美 またも球と平面の話です。
水田課長 またか。まだ、俺の頭は平面だもんな。
中山由美 例えば、地表すれすれに飛んでいる人工衛星があったとしましょう。
水田課長 そんなの、危なくてしょうがないじゃないか。
中山由美 だから、例えばですって。 
例えば、東京を通って、経線と直交する軌道で地面すれすれに飛んでいる衛星があるとします。
水田課長 ん? それって・・・
中山由美 あ! 気がつきましたか?
水田課長 危ないよな。
中山由美 がくッ。せっかくうまい説明と思ったのに・・・
水田課長 ああ、それって・・・
中山由美 あ、今度こそ気がついてくれましたか。
水田課長 どうやって打ち上げるんだろうな。地面すれすれの衛星って。
中山由美 おちょくってます?
安村主任 なに二人で漫才やってるんですか。(オレも入りたいヨ・・)
水田課長 入りたいなら入りたいと言わんかい。
安村主任 あれ? オレってさとられ?
中山由美 もうお分かりのことと思いますが、この人工衛星の軌道は、前回までの東京から見た東西の方向の線と一致します。
水田課長 ふむ。
中山由美 で、その線ってメルカトル図の上ではやっぱり波打ってましたよね。
水田課長 そうだった、そうだった。
中山由美 球面上の円をメルカトル図に投影すると、波状になるんですよ。
水田課長 そう言えば、他の人工衛星もそんな軌道だったよな。ひまわりとか。
中山由美 ひまわりは静止衛星だから、違いますよ。
水田課長 静止衛星? 止まってるのか?
安村主任 地球の自転と同じスピードで回っているので止まっているように見えるんですよ。
水田課長 静止衛星って、メルカトル図上では、どうなるんだ?
中山由美 赤道上の一つの点ですね。
水田課長 何じゃそりゃ。愛想ないな。
安村主任 愛想の問題じゃないでしょう。
水田課長 話を戻して、ミールはよれよれの軌道を飛んでたわけじゃなかったんだな。
中山由美 そうですね。
水田課長 まっすぐに飛んでいて、役目を終えて落ちた・・・なんか哀れだなあ。
中山由美 課長ってヤラしいんですね。
水田課長 言い間違えるなって。
中山由美 でも、ミールのおかげで理解が深まりましたよね。
水田課長 ふむ。だいたい分かったような気がする。
中山由美 これで、人工衛星の軌道を見ても理解できますね。
水田課長 そうだな。見ーる人が見れば分かるんだな。
中山由美 ・・・・(し〜ん)・・・
安村主任 ・・・・(し〜ん)・・・
水田課長 あっ、ちょっと寒かったか?
中山由美 ・・・・(し〜ん)・・・
安村主任 ・・・・(し〜ん)・・・
水田課長 そ、そんなつもりじゃなかったんだ。反省してます! うそじゃない!
安村主任 はいはい。もう分かりましたから。
水田課長 信じてくれ! 本当だ! おれのこの目を見てくれ。
中山由美 ・・・・・プッ。
水田課長 人の顔を見て笑うな!
第15話へつづく  
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