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第25話 バック・トゥ・ザ・フィーチャー

水田課長なあなあ、イソって何だ?
中山由美イソ? ああ、ISO(アイエスオー)ですか? 国際標準化機構ですよ。
安村主任アイソと読むのがいいんじゃないの?
水田課長標準化機構なのに読み方も標準化されてないのか?    そういえば、どこかの会社が「ISO(イソ)じまん」とかいうパッケージを出してたぞ。
中山由美じゃあ、アイソ派は対抗上「ISO笑い」なんてパッケージを出しますか。
安村主任何のソフトじゃ、それは。 ところで、何でそんな話を?
水田課長なんか、ISOやらG-XMLやらGMLやらと訳がわからんから、GISの 標準化のお勉強をしようかと。
安村主任標準化を勉強するなら、先ずフィーチャーからですね。
水田課長ああ、バック・トゥ・ザ・フィーチャーのフィーチャーね。未来が何で関係あるの?
中山由美未来はフィーチャーじゃなくてフューチャーですよ。
水田課長あん? ささいな違いやんけ? で、そのフィーチャーって日本語で言うと何だ?
中山由美地物(ちぶつ)です。
水田課長えっ? 恥部だとぉ? なんか恥しい部分が・・・・
中山由美恥部じゃなくて、ち・ぶ・つ、土地の「地」に「物」です。
水田課長地物と言われても、よう分からんなあ。何だ、地物って?
安村主任実世界の存在を抽象化した概念です。
水田課長あん? 何のこっちゃさっぱり分からん。日本語で言え!
安村主任英語で言うと、abstraction of real world phenomenaです。
水田課長誰が英語で言えと言った。 ああ、もうかなりメゲてきたぞ。
中山由美まあまあ。地物というのは、例えば、建物とか道路とか現実世界に存在するものです。
水田課長ほら、そういう風に言ってくれれば分かるやんけ。 ったく。おまえは簡単なことを難しく言うんだから。
安村主任別にわざと難しく言ってるわけじゃなくて、定義を言ってるだけですよ。
水田課長しかし、定義が訳が分からなかったら意味ないじゃん。
安村主任分からないですかねー。実世界って分かりますよね。
水田課長うん。
中山由美存在は?
水田課長分かるよ。人をアホみたいに言うな。
安村主任じゃあ、実世界の存在はわかるんですね。
水田課長う、うん。 わ、わ、分かるけど、なんか、オレを陥れようとしてる?
安村主任いえいえ。じゃあ、抽象化は分かります?
水田課長それが分からん! 建物にしても道路にしても、えらい具体的やんけ。
中山由美いえ、どちらも抽象的な概念です。
水田課長なんでやねん。建物はその窓からコンビニやら喫茶店やら見えてるし、道路だって 下に見えるやんけ。ちょー具体的だゾ。
安村主任いえ、建物という言葉自体は抽象的で、具体的なのは例えば「課長の家」と言うと 具体的になります。
水田課長ん?
中山由美つまり、「課長の家」とか「私の家」とか「六本木ヒルズ」とかを抽象化したものが「建物」です。
水田課長ははあ。少し分かってきた。
中山由美で、その「建物」を地物の型、「課長の家」を地物インスタンスと言います。
水田課長はあ? 課長の家の恥部inタンス? ウチのタンスに隠している秘密を何で知ってるんだ?
中山由美な、な、何をタンスに隠しているんですか?
水田課長そ、そ、そんなん、言えるわけないだろ。
安村主任どうせ、ロクなもんじゃないよ。そうじゃなくて「地物インスタンス」と呼ぶんですよ。
水田課長そんなん、呼ばんでええ。
中山由美地物と言ったときに、型なのかインスタンスなのか明確に区別するためにそう言うんです。
水田課長めんどくさいなぁ。どっちでもいいじゃん、そんなこと。 だいたい、インスタンスって日本語で何なんだ?
中山由美もう日本語になってるんですけど。
水田課長なってない、なってない!
安村主任まあ、強いて言えば「実例」とか「事例」ですかね。
水田課長う〜ん。そうか、そうか。建物の実例が「課長の家」ということね。 ン? 課長って言葉はひょっとして抽象的?
安村主任本来はそうですね。でも、今までの話の流れでの「課長」はあなたのことを言ってますから具体的です。
水田課長そうか、じゃあコンビニも抽象的だな。
中山由美そうですね。ローソン日本橋室町店とかいうと具体的です。
水田課長ふむふむ。分かってきたぞ・・・・あれ?
中山由美どうかしましたか?
水田課長コンビニも抽象的、建物も抽象的、コンビニって建物だよな? 建物のインスタンスがコンビニ・・・じゃないよな。
中山由美違います、違います。インスタンスはあくまでも具体的なものです。
水田課長じゃあ、建物とコンビニの関係はどうなるんだ?
安村主任それは、フィーチャーをどう定義するかによるんですよ。
水田課長は?
中山由美話が抽象化の話からフィーチャーに戻ってきましたね。
安村主任これがホントの「バック・トゥ・ザ・フィーチャー」だな。
水田課長せっかく分かりかけていたのに、また分からなくなってしもうた。こういうのを、バック・トゥ・ザ・分からなくなったと呼ぶ。
中山由美そんなん、呼ばんでええ。
水田課長・・・・・・・

第26話へつづく